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体力温存

妻は、もともと無理をするタイプだ。客商売だったこともあり、病気で店を休んだこともほとんどなかった。1日じゅう立ちっぱなしの仕事だった。


今は、疲れたら休む、無理しない生活を心がけている。


いや、すぐにそうできたわけではなく、性分もあって、仕事をやめてからも、あれこれ家事を頑張っちゃっていたのだが、骨折二回、やけど一回を立て続けに経験し、腱鞘炎になったので、観念した。


骨折というと、例の転移かと思われるかもしれないが、それはなんともなかった。ただ、体力が衰えたのに気力でぐいぐいいくタイプだったのである。


妻のすごいと思うところは、一旦決めたら完徹しようとするところで、今は「無理しない」にこだわった生活をしている。だから、楽しいことややりたかったことさえも、平等にセーブしている。

で、「精神的にも無理しない宣言」をしてきたので、「それはいいね」と同意したのだが、どうやらそれは、大半が、私に対してズバズバ言うという意味だったようだ。


えっ、そんなふうに思ってたわけ〜?


的な変わりように、さすがは客商売だったとさかのぼって感心している。

四年目

10月だ。

初めて受診してから四年が経った。

あんなに大きな癌だったのに。

脇の下がボコボコになるほど転移してたのに。

半年毎になった検査で引っかかるのはコレステロールだけだ。

本人は、お金がもったいないから検査に行きたくないと言っている。


自分は癌を見切ったから、検査はいらないという、よくわからない達人ぶりである。


「先生もっと縫い代の皮を残してくれれば良かったのに下手くそだな」と裁縫好きな妻は文句を垂れている。


「自分で縫いたかったな」

風呂場から独り言が聞こえてきた気がする。


合掌

長い間放置しているにも関わらず、毎日300もアクセスがあったことに今気付きました。ご訪問ありがとうございます。妻は元気です。

じつは、ブログ『若年性乳がんになっちゃった 〜ベコの闘病日記』でおなじみのペコさんが天国へ旅立たれたそうです。ショックでした。


バタバタと忙しい週末で、たった今知りました。


同じ病気になる人のために、薬の種類や回数や治療費などを克明に記録されていました。人に言いづらいようなことも、記録し続けたのは、そのためだと思います。


彼女の渾身の記録が本になりました。北海道新聞社から出ています。

ペコさん、ありがとう。


TBSと朝日が険悪

TBSと朝日が、乳がん検診を巡って険悪になっているそうな。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/media/404758/

TBSが、20代から30代の女性に検診を薦めていることに対し、

朝日が「国が薦めているのは40歳以上」といった内容を報じているようだ。



朝日、変わり身早いなあ。


20代や30代への啓蒙でやった芸能人のヌードキャンペーンで、

お金もらってたじゃん。


さんざん、「若いうちから」って言ってたじゃん。

早けりゃ早いほど良くて、

宣伝は派手なほうがいいって、言ってたじゃん。

商業主義的広告手法が有効だって、言ってたじゃん。



アメリカで基準が見直されたら、コロッと変わるもんなあ。


こんなに、予想どおりに変わっちゃって。


TBSも、そりゃ、驚くわな。

裏切られたもんだ。



早期発見のメリットって、あると思うんだけど、


早いから何でも良いんじゃなくて、


乳がんの事実に愕然として、

とたんに自分だけ世間から置いていかれたように感じて、

心の落ち込みが激しくなって、悪化したり、

治療を回避したり、

自暴自棄になったりするのが、怖いんだからね。



発見だけが、重要なんじゃなくて、

発見したあと、さびしく感じたりしないで、

希望をもって、大事にされて、

余計な辛さを少しでも上乗せしないように

しないといけないんだよね。



早期発見競争もむなしいけど、

報道機関のやるキャンペーンなんて、

けっきょく、自社の都合なのよね。



対がん協会も、企業との提携が進んでますな。

3000枚の検診無料券を配るんだそうで。

そういうのって、「いいこと」っぽいけど、

ぎゃくに、なんで、3000枚?


対がん協会は、

「がん検診を無料に!」って運動はしないんだよね。

民間企業とタイアップするほうが、一生懸命。


何がなんでも、検診率を上げたい割には、

タイアップにつぐタイアップ。

なんで?






春がきた

新年早々、妻が両手を骨折し、家庭内入院状態になった。


いよいよ骨に転移したかと覚悟したが、単に転びかたが悪かったようだ。


最初は、気力と工夫で乗りきっていた妻だった。動かせる左の薬指と小指の間に、コンビニでもらうような軽い樹脂のフォークを挟んで、器用に食事をしたり、私が買ってきたスリッパ型ホコリ取りで部屋を掃除したり、家の中は随所、工夫だらけになっていった。


それでも、冬の終りになって、泣き言を言うようになった。


「やっぱり、転移したと思うよ。せっかく生きるつもりになったのに…」


そんな妻の話を聴きながら、ところどころで、「転移したからって、長く長く生きる人もいるよ」「その症状は転移の症状じゃないよ」などと言った。


人に話すことと、私が聴かせた他人の話、そして、ずっと放っておいた庭に出られるようになったことで、だいぶ元気になった。


ちょぼちょぼ左手を酷使して10本くらい雑草を摘んできた妻は「いててて。やりすぎた」と言いながら、晴れの日をたのしみにしている。。

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アメリカで乳がん検診見直し

Yahoo!ニュースや各紙などですでにご存知と思うが、アメリカで40代女性のマンモグラフィー検診が、不利益が利益を上回るとして、推奨から外されることになった。


勇気ある決断である。

検診を絶対視せず、リスクについて情報を開示し、見直しを行うということは、短期的ショックを上回る信頼を得ていくだろう。


検診を広めていくには、受診呼び掛けを宣伝するよりも、信頼を得て、リスクも開示し、病気とわかった人に優しくしていけば良いと思う。


さて、今年のピンクリボンフェスティバル、この情報、掴んでいながら、予定どおり、例年のイベントを実施したと思われる。


「まだ発表されてないから」「日本の判断がまだだから」きっとそういうことだろう。


自分の家族なら、そうするだろうか?最新情報が入ってきたら、とりあえず何か反応しはしないのか。


結局、受診者の都合じゃない都合、担当の自己実現や、企業の利益や、企業のイメージアップや、グッズ販売や、楽しいイベントや、お洒落なイメージや…。そういうことだろう。


次回は、アメリカに追従するだろう。アメリカが変われば、確信などグラグラなのだ。患者が騒いでも、正しいと言い張ったのに。


ピンクリボンフェスティバルは、この際、是非、アメリカに反論して欲しい。患者に言い切ったように、NCIに反論して欲しい。


それとも、ピンクグッズの購買層の40代が落とされたら、やる気を無くすのだろうか。


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DCIS

乳がん検診の最大の問題点のひとつが「DCIS」だ。


この前癌病変を、そもそも「乳がん、と言っていいものかどうか…」という迷いが、アメリカでは起きている。

今年のピンクリボンフェスティバルでは、私の知る範囲では、一言も触れられずじまいだ。


「早期発見なら、100%治ります」が、もし、


「放っておいてもほぼ100%問題ない病変を発見して、取ってしまいうように誘導し生存率の数字を上げて見せてます。なぜかそれでも上がってないケド…」

だったらどうするか、という大問題が、伏せられているのだ。


すでに海外では、名前まで変えて、分類を見直す動きも出ている。

がん検診普及に真面目に取り組んできた諸団体を、ピンクリボンフェスティバルが席巻してしまい、メッセージを単純化して、都合悪いことを隠している。

「検診は大事なのよ!私もそれで助かったのよ!」という善意の人たちに守られているが、真面目なピンクリボン団体は、患者や検診者本位だから、必要な情報はいち早く伝えるはずだ。


「私たちは検診事業の有用性をうたっているだけ」というロジックにどれだけ翻弄された人たちがいただろうか。


「公式な指標がないので今までどおりにしました」「公式な見解に変更があったので変えました」という簡単な言い逃れで済ませられるというのに。


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進化

変な顔をしている。

「人間の口はさ、中身が出てきちゃってるんだよね」


まあね、何でも喋っちゃって後悔することあるからね。




「ちがうよ。くちびる、ってさ、もともとは口の中身なんだよ」


なに、それ?



「もともと中身だったから、くちびるは赤いんだよ」


テレビでやってたの?





「考えついた!」




いいから、くちびる出して喋れよ。


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自分の中のあらがえない自分

眠くて眠くてたまらないとき、起こされても起きられないことがある。


本当は、起きられないこともないのだが、「起きられない」と考えることで、自分の中に、コントロールし難い自分を飼うことになる。

楽しいことがあれば起きられるが、楽しみがなければ起きたくない。だから「起きられない」となる。


これがやがて「気分が乗らない」「やる気が沸かない」となり、「自分の力ではどうしようもない」となってくれば、ますますアウトオブコントロールだ。

欲求を感じると脳があたたまってしまい、後悔するとわかっていてのめり込む自分を止められない。自分に御し難い自分。


依存体質と言えばそれまでだが、例えば好きだった人が忘れられないとか、子どもが可愛くてしかたないとか、それも自分で御し難いものだ。


修正しようと力む前に、一文の利を認めてやるのも、いいかもしれない。


感じるままの生き方は、恵まれているときには甘美だが、不遇のときは辛いばかりだ。


不遇のときは、いま自分のあるものに感謝しよう。まだまだやれるはずだ。


起きられないのでなく、「起きられるけど、ギリギリまでもたもたしたい」自分を自分のままにする言葉を使おう。


僕が言えるのは、それしきのことだけだ。


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ピンクリボンは単純化してはいけない

誤解されやすいのだが、私は癌検診の啓蒙運動には反対ではない。
お祭り化に反対なのである。


「とにかく検診すれば助かる」のような、単純化を、商業的広告手法でメディアにのせていくことが、よろしくない、ということである。


リスクや、個人が判断する機会や、発見が遅れた人への配慮に欠けるからである。


主体となる本人の判断を、イメージで誘導するのは良くない。


売ればいいだけの産業とは違うのだ。説明や理解や判断が大事なのだ。


主体がないと、癌を生きるのは難しいから。

もう、賞金出してポスター作るとか、そういうのは今年でやめたらどうかな。


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Author:endlessavemaria
こんにちは、理人(Lied;リート)です。
妻は50代前半、私は40代前半です。


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