グロテスク

窓のない部屋だった。

不織布が解かれ、密閉容器の蓋が外れると、妻の胸がいた。

黄色がかった脂肪と赤い組織は大学ノートより大きく、だらしなく広がっていた。

その上に張り付いた葉状に切開された皮膚の中央に小さな乳首があり、

すぐ上に横一線の切開口が割れていた。



「これが奥さんのガンです。触ってみますか?」



指を伸ばそうとした私を制して、

主治医が滅菌済みのピンセットを手渡した。

伝わる感触を強いて言えば、壁だ。

ザラザラと硬い感触。

がんちゃんは白かった。




センチネルリンパ節は、青く染まってしまった。

転移の証拠だ。

リンパはカクセイされ、

小さなケースに周囲の脂肪と共に収められていた。




妻の脇の下は、

治療開始時には、ボコボコといくつも腫れていたのだそうだ。

先生も、内緒にしておくとは、わかってらっしゃる。




私を。





今後の予定を聞きながら、

容器が、また不織布にくるまれていくのを見ていた。









検体に出さなきゃ、もらえたのだろうか。




そんなことを思いながら。

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妻は50代前半、私は40代前半です。


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