「先生、うちの主人が、ナントカという薬が使えるかどうか聞いてきて欲しいって言うんです」


「はて?何でしょう?」


「それが、私にはよくわからないんですよ」

「それは困りました」

「先生、医者なんだから、わかるでしょ」


「ナントカだけで推理しろと言うわけですか…」


という展開の中で最初にハーセプチンを挙げた医者は別に普通だが、「あ、それそれ。さすが先生」と言えた妻は偉かった。


「高いですよー」と言いながらも、検討してくれることになった。

術後療法が保険適用になったとはいえ、一年百万は覚悟。三百万払った人のことを思えば安い。

中央値でせいぜい5ヶ月というデータもあるが、5ヶ月は大きい。


それに、体の免疫が変化する可能性もあるらしいので、今はそこに期待しておきたい。


理屈なんて、もっともらしくても、ほんとのところはまだわからないのだから。


奇跡を信じるときには、奇跡が起きるかどうかはメインではない。信じるものがあるかどうかが大事なのだ。


そこにつけこんで金儲けするような奴らは許せないが、


信じることは大切だ。

スポーツの試合を見ていて、「まず負けるな、これは」と思っていても、タイムアップまでは負けは確定しない。タイムアップまでは負けないのだ。


負けそうな試合の場面に、10年に一人、新人賞総なめの大型ルーキーが登場した、というわけだ。






七割引で。


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奇跡

私の入院中、知り合いの医師が「奇跡は起こるんです。医者はそれをよく知っています」とメールをくれました。頭の片隅にいつもあります。
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