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早期発見運動のデリカシー

10年ほど前、父が心臓を患い、胸に水が貯まって息も絶え絶えだった頃のことだ。


一日二箱のマイルドセブンを吸っていた父は、自分が肺癌であると考えていた。


父は病院へ行くことを拒み、幼い孫の顔を見るため、週末の度にわが家を訪れ、草花と遊ぶ私の娘を、いとおしく眺めていた。


父は不眠になり、夜中に意識が混濁して、大声を出したりもした。
「癌」と言う言葉を母が聞き取った。


いよいよ呼吸困難になり、外来を受診した診療所から、救急車で総合病院に搬送された。

入院して、すぐに見舞った私の前には、死相の老人がいた。別人のように痩せこけ、20年も年をとったようだった。



しかし。


検査の結果、父の病気の原因は、癌ではなく、心臓だった。もちろん、軽いものではなかったが、癌ではなかったのだ。


検査の結果を聞いた一週間後、父は、父に戻っていた。


「胸に貯まった水を抜いたて、点滴したら楽になったよ」

父はそう言ったが、
私は、「癌ではなかったこと」も、短期間に父を回復させたのだと思った。


父は、心臓の病気だったが、もし癌であったとしても、癌そのものによってではなく、その想像によって亡くなっていたかもしれない。


人は、癌でなくとも、恐怖や不安が増した上に、体調の不良が起きると、著しく消耗し、「危ない状態」になるのだと思った。


人は病気で死ぬ前に、きっと死んでおかしくないような状態になる。


その状態をわざわざ早めるもの、いたずらに招くもの、それがイメージであり、不安であり、恐怖なのだ。


だから、私たちは、「手遅れ」などという表現に気をつける。


「早期でない人たち」が、まだエビデンスを受けていない治療がある。


圧倒的な精神支援、正常細胞を賦活する機会、生々しい生。


それらに医療は、正直、イマイチだ。


波の底辺を、いかに超えていくか


そういう力強く生きる姿を、私は教えられた。私より生々しく生きている人がたくさんいる。


「早期発見の意義」と「早期発見運動のデリカシー」とを分けて考えられない運動は、あまりにも浅はかだ。

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コメント

No title

ご無沙汰してます。「余命嫁」のあまりのはしゃぎぶりに、ビンボーも顧みず思わず復活してしまいました。TBかけさせてもらいます。
そーいえばピンクリボン事務局も朝日から対がん協会へ移るとのこと。日経のサイトで得意満面のN女史の顔を見て吐気がしました。人間ここまで傲慢な顔になれるんですねー。こんごともよろぴくー。

No title

早期発見じゃないし、再発しちゃったし、死線をさまよいましたけど、生の世界へ帰ってくる手段、その可能性をちゃんとブログに綴りたいと思う今日この頃です♪

いやあ、よく帰ってきたなあと、自分でも思います・・・。
でも、奇跡を起こす方法があるんだなって、漠然とだけど、今回勉強しました。
それを今後も皆様に伝えて行きたいなと思います。漠然とだけど・・・

No title

はじめまして。
たくさんの記事を、飲み込まれたかのようにむさぼり読んでしまいました。
で、ここでコメントを入れさせていただきます。

ピンクリボンについて、激しく共感です。
検診を啓発するのはもちろん大事だろうけれど、現に癌と戦っている人たちの意欲を踏みにじるのは本当にやめてほしい。
「早期発見じゃないと助からない」みたいなことを言うのはやめてほしいですね。

私も早期発見ではなかった患者の一人ですが、今のところすこぶる元気です。

よろしければリンクさせていただけないでしょうか。
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endlessavemaria

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こんにちは、理人(Lied;リート)です。
妻は50代前半、私は40代前半です。


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