ミモザ
いつの頃からだろう。
門扉の辺りに植えられたミモザの花のことを
妻が口にするようになったのは。
「パパ、見てて。うち、きっとお金持ちになるからね。
大金持ちになれないかもしれないけど、
小金持ちくらいには、なれるよ」
ミモザの話になると、
妻は、決まってこう結んだ。
たぶん、いや、確実にベースにあるのは、
「風水」なのである。
なんとかの方角に黄色いのがあると
お金が入ってくるとか、どうとか。
で、これまたたぶん、いや、これまた確実に、
それは、
Dr.コパ
なのである。
妻は別に、風水なんて、ほんとは信じちゃいないのだが、
縁起はかつぐ。
今まで、何度も黄色い花をそこに植えてきたのだが、
悉く失敗してきたのだ。
そして、植えて数年経ってから、
今年、ようやく黄色い花が、ほぼ確実に
見られそうになった。
妻は、何度も何度もミモザの話を嬉しそうに話すのだった。
ところが、ミモザの隣に、
鳥が運んできたらしき雑木が
けっこうな太さで生えてきてしまい、
いつの間にか、ミモザを圧迫し始めていた。
そこで、妻は、私に、
その雑木を切るように頼んだのだ。
それは、私が出張に出る前の土曜日のことだった。
買ったばかりの切れ味鋭いノコギリの刃をあてて、
5分の2も切ったころであろうか、
ちょっと余所見をしていた妻が、
いきなり、大声を上げた。
「パパ!それ、ちがうよ!!!!ミモザだよ!!!!」
私は、背中にノコギリの刃が当たったような気がするほど
驚いて、即座に切るのをやめた。
「あーーーーーん。もう・・・
あーーん、やだ、もう、こんなに切れちゃって・・・」
妻が、「・・・」のあとに考えたことは、
テレパシーのように私に伝わった。
「・・・うちは、結局、お金持ちにはなれないんだね・・・」
妻の深いため息は、そう聞こえた。
「ごめんよ。注意していなくて。ほんとにごめん」
私も、もう二度とお金には恵まれないような気がしてきていた。
「パパ、切って欲しかったのは、こっちの木だよ」
細い方だったのか。
私も、暗い気持ちでため息をつきながら、
ノコギリでほんの数往復させただけで
細い方を切った。
細い方を。
細い方。
細い方?
細い方の先を何気なく見た私は、
瞬間的に思った。
悪いのは、私のほうがいい。
自分に責任があったほうが、ずっといい。
今、切り落とした木の先には、
あと数日で開こうとしている、
黄色を含んだ、
たくさんの芽が揺れていた。
「ママ、こっちが・・・ミモザだったよ・・・」
妻は、二度失望した。
「ええーーーーーっ」
とても哀しそうな声だった。
「パパ、なんか・・・、ごめんね」
その声を聞きながら、
私に怒りが向けられたなら良かったのに、
と思わずにはいられなかった。
妻は、バケツに水を汲んできて、
小さく切り分けたミモザを挿した。
根は出てきてくれるだろうか。
残った部分から、枝が出てきてくれるだろうか。
もし、ちょっとでも出てきてくれたなら、
きっと妻は、何年でも待つだろう。
別に早く咲かなくてもいいのだ。
ガーデナーは、花咲く日だけが嬉しいわけではないから。
私は、今夜、会社の企画会議に出てきた。
収益を一層上げるためのプロジェクトだ。
もともとメンバーに入ってはいたのだが、
私は、なんだか、本気でお金が稼ぎたいと思った。
私にも、芽が出るといいのだが。
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門扉の辺りに植えられたミモザの花のことを
妻が口にするようになったのは。
「パパ、見てて。うち、きっとお金持ちになるからね。
大金持ちになれないかもしれないけど、
小金持ちくらいには、なれるよ」
ミモザの話になると、
妻は、決まってこう結んだ。
たぶん、いや、確実にベースにあるのは、
「風水」なのである。
なんとかの方角に黄色いのがあると
お金が入ってくるとか、どうとか。
で、これまたたぶん、いや、これまた確実に、
それは、
Dr.コパ
なのである。
妻は別に、風水なんて、ほんとは信じちゃいないのだが、
縁起はかつぐ。
今まで、何度も黄色い花をそこに植えてきたのだが、
悉く失敗してきたのだ。
そして、植えて数年経ってから、
今年、ようやく黄色い花が、ほぼ確実に
見られそうになった。
妻は、何度も何度もミモザの話を嬉しそうに話すのだった。
ところが、ミモザの隣に、
鳥が運んできたらしき雑木が
けっこうな太さで生えてきてしまい、
いつの間にか、ミモザを圧迫し始めていた。
そこで、妻は、私に、
その雑木を切るように頼んだのだ。
それは、私が出張に出る前の土曜日のことだった。
買ったばかりの切れ味鋭いノコギリの刃をあてて、
5分の2も切ったころであろうか、
ちょっと余所見をしていた妻が、
いきなり、大声を上げた。
「パパ!それ、ちがうよ!!!!ミモザだよ!!!!」
私は、背中にノコギリの刃が当たったような気がするほど
驚いて、即座に切るのをやめた。
「あーーーーーん。もう・・・
あーーん、やだ、もう、こんなに切れちゃって・・・」
妻が、「・・・」のあとに考えたことは、
テレパシーのように私に伝わった。
「・・・うちは、結局、お金持ちにはなれないんだね・・・」
妻の深いため息は、そう聞こえた。
「ごめんよ。注意していなくて。ほんとにごめん」
私も、もう二度とお金には恵まれないような気がしてきていた。
「パパ、切って欲しかったのは、こっちの木だよ」
細い方だったのか。
私も、暗い気持ちでため息をつきながら、
ノコギリでほんの数往復させただけで
細い方を切った。
細い方を。
細い方。
細い方?
細い方の先を何気なく見た私は、
瞬間的に思った。
悪いのは、私のほうがいい。
自分に責任があったほうが、ずっといい。
今、切り落とした木の先には、
あと数日で開こうとしている、
黄色を含んだ、
たくさんの芽が揺れていた。
「ママ、こっちが・・・ミモザだったよ・・・」
妻は、二度失望した。
「ええーーーーーっ」
とても哀しそうな声だった。
「パパ、なんか・・・、ごめんね」
その声を聞きながら、
私に怒りが向けられたなら良かったのに、
と思わずにはいられなかった。
妻は、バケツに水を汲んできて、
小さく切り分けたミモザを挿した。
根は出てきてくれるだろうか。
残った部分から、枝が出てきてくれるだろうか。
もし、ちょっとでも出てきてくれたなら、
きっと妻は、何年でも待つだろう。
別に早く咲かなくてもいいのだ。
ガーデナーは、花咲く日だけが嬉しいわけではないから。
私は、今夜、会社の企画会議に出てきた。
収益を一層上げるためのプロジェクトだ。
もともとメンバーに入ってはいたのだが、
私は、なんだか、本気でお金が稼ぎたいと思った。
私にも、芽が出るといいのだが。
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こんにちは♪
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No title
理人さん
ご心配おかけ致しました。ありがとうございます。
黄色の花は家の中心から見て西の方角に植えると
お金が貯まるとか。
我が家も黄色いバラ植えてます〜。
挿し木成功しますように。
けど、細い方の生き残ったミモザさんに芽がありませんか?
どうかあります様に。
ご心配おかけ致しました。ありがとうございます。
黄色の花は家の中心から見て西の方角に植えると
お金が貯まるとか。
我が家も黄色いバラ植えてます〜。
挿し木成功しますように。
けど、細い方の生き残ったミモザさんに芽がありませんか?
どうかあります様に。
No title
ブログを引越しました。
ここでは画像が貼り付けられました。
落ち着いたら又、来ます。
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えみりんさん
そうですかぁ、だったら嬉しいなあ。なんか、あれ以来、出費が続いているような…
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KOKOROさん
そう!西でした、たしかに。
新しい方が落ち着いたら教えてくださいね。
そう!西でした、たしかに。
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思います……が……
ちょん切っちゃったんですよね?
挿し木が成功しますように(≧∇≦)b